やまぐち幕末ISHIN祭

スペシャルインタビュー vol.

平成29(2017)年9月1日、全国のJRグループ6社と山口県などの地方自治体、観光事業者などによる大型観光キャンペーン「幕末維新やまぐちデスティネーションキャンペーン(山口DC)」がいよいよスタートしました!! JR西日本の取組の見どころなどを、JR西日本やまぐち支店長・淺井昌容(あさい まさやす)さんにうかがいました。

――― 昨年1月、地域共生推進担当特命、初代やまぐち支店長として着任されたそうですね。

淺井支店長:はい。やまぐち支店の新設と同時に着任しました。JR西日本は地域共生企業を目指しており、地元により身近な存在となって山口県の新たな魅力を発掘し、情報発信していこうと取り組んでいます。私自身は鳥取の出身ですが、実は入社時の配属が下関駅で、山陽本線・宇部線の列車運転士も経験しました。その後、下関乗務員センターの所長を務め、山口県での勤務は今回で3回目。とてもなじみのある県です。一面の実りの秋の田園風景や、富海(とのみ)‐戸田(へた)間の沿線風景など、のどかな自然の風景は印象的でしたね。

――― 海のすぐそばを走る富海‐戸田間は“撮り鉄”の皆さんの撮影スポットでもあるそうですね!! 支店長として着任以降、どんなことに取り組んでこられたのですか。

淺井支店長:山口DCなどに向けて、県をはじめさまざまな皆さんと一緒に、山口県の観光素材、食、工芸品などを探し、特別感のある素材に磨き上げてきました。そうした中で私が山口県のキーワードとしてあらためて感じたことが「広い・深い・懐かしい」です。「広い」とは山口県の広さ。三方を海に開かれ、中山間地域もあり、山口から萩へ行くと天気がガラリと違うほど山口県は広い。
つまりそれは“365日いつもどこかに旬の物がある”ということでもありますよね。「深い」とは歴史。有名な幕末維新だけでなく、室町時代に栄華を誇った大内氏の歴史・文化、人類学上重要な弥生時代の「土井ヶ浜遺跡」などもあり、山口県は歴史が豊か。しかも山口県では地元の皆さんが歴史に誇りを持ち、次代へ継承しようとしておられ、その熱意がとても強いように思いますし、だから歴史を感じるものが県内各市町に豊かに残されてきたのかもしれませんね。歴史好きな人にとって、たまらない魅力がいっぱいの山口県です。そして「懐かしい」とは、それぞれの地での温かいおもてなし。暮らし、文化、方言。人との出会いを通じて、初めて行った所も懐かしいと感じました。

――― JR西日本では、山口DCへ向けてさまざまな取組を進められ、8月5日にはJR山陰線に新しい観光列車「○○のはなし(※1)」がデビューしました!!

淺井支店長:おかげさまで、大好評で、快調に運行を続けています。魅力の1つは、下関‐萩間の絶景、美しい海を眺めながら列車の旅をお楽しみいただけること。2つ目は、地元の食材を用いた、こだわりのお弁当を楽めること(※2)。3つ目は、とっておきのおつまみやスイーツなど(※3)。4つ目は、萩焼といった伝統工芸品などもお楽しみいただけること。また、イベントスペースでは、地元の皆さんに「地酒のはなし」など沿線の魅力をおはなしいただいています。下関‐萩間は、歴史も自然も文化も食もふんだんにあり、いろんなストーリーが息づいている地域。「○○のはなし」のネーミングには、萩の「は」、長門の「な」、下関の「し」の頭文字に加えて、列車の旅を通じて、お客様それぞれに合ったはなしを見付けていただきたいという思いも込め、○○のところは、あえて○○にしているんです。

――― 「○○のはなし」で見て聞いて味わったストーリーを、誰かにはなしたくなる。そんな旅ができそうですね!! そして SL「やまぐち」号の新製客車が「山口DCオープニングイベント」の日にデビュー。ものすごい人出でした!!

淺井支店長:昭和54(1979)年に全国で初めて山口線にSLが復活して38年。地元の皆さんに愛され、育てていただき、この度、新しいレトロ客車がデビューとなりました。客車はSL全盛期の昭和初期の客車を復刻したもので、レトロな雰囲気を味わえると同時に、ウォシュレット付きトイレやベビーカー対応の荷物置場などもあり、現代の快適な旅も楽しめます。また3号車にはフリースペースを設け、SLの歴史を学べる展示コーナーや運転シミュレーター、投炭ゲームを設置(※4)。そうした展示やゲームがSLの車内にあるのは非常に珍しいと思います。さらに車内で楽しめる、とっておきの食やスイーツもおすすめです(※5)。そして何といってもSL「やまぐち」号のおもてなしといえば“お手振り”ですね。

――― お手振り、というのは…?

淺井支店長:沿線の皆さんが、走行するSL「やまぐち」号に向けて、とてもよく手を振ってくださるんです。しかも、両手で。農作業の手を止めて。だから、乗車しているお客様も自然と手を振りかえしたくなるんですね。

――― 浅井さんご自身、乗車されたことは?

淺井支店長:もちろんあります。運転したことはありませんが。
山口線には、勾配が急な所があり、SLが蒸気をもうもうと吐いて、頑張って必死に坂を駆け上ろうとする。その姿に人生というか、生き様というか、勇気づけてくれるような感じがしましたね。整備する人に言わせると、SLは日によって機嫌がいい、悪いがあるといい、本当に生き物のようですよね。そんな魅力も勾配の急な所がある山口線だからこそ一層感じられるのかもしれません。

――― 11月23日(木曜日・祝日)から26日(日曜日)まで、SLフェアやD51デビューなどがある「全国SLサミットinやまぐち」も開催されるので、SL「やまぐち」号に今後ますます注目ですね。また、山口DCでは「名探偵コナン 幕末維新やまぐちミステリーツアー(※6)」も開催中。このミステリーツアーでは、コナン君は珍しく着物姿で、それは高杉晋作(たかすぎ しんさく)を意識しているそうですね。そもそもこれはどういうツアーなんですか?

淺井支店長:JRと宿泊がセットになった対象の「旅行プラン」または「やまぐち幕末ISHINきっぷ」を購入していただき、ツアーキットを携帯しながらチェックポイントを巡って謎を解いていくツアーです。全ての謎を解いて応募していただくと、抽選でコナンのスペシャルグッズや山口県の名産品が当たります。コナンは海外でも人気が高く、今回初めて、台湾・韓国の訪日外国人旅行者を対象としたミステリーツアーも同時に開催します(※7)。そのほか、今回の特徴は、萩・山口エリアの歴史を感じられる場所にチェックポイントを設けたこと。また、県内の広域4カ所にお楽しみポイントを設けたので、コナン君と一緒に周遊して山口県をまるごと楽しめるのも特徴です。正解はツアー終了後、『週刊少年サンデー』誌面で発表され、TVアニメでも放送される予定なので、ツアーの後のお楽しみもあります。

――― 今年6月には、豪華列車「トワイライトエクスプレス瑞風(みずかぜ)」がデビューしました。大人気で、抽選はすごい倍率だそうですね。

淺井支店長:はい。ありがとうございます。瑞風は主に中国地方を走り、県内の立寄り観光地は岩国、萩。下関は発着駅となっています。沿線各地で地元の皆さんの温かい歓迎がお客様にとても喜ばれています。私たちも地元の皆さんと一緒に、今後へ向けて、瑞風の新たな伝統をつくっていきたいと思います。私は試運転のときに添乗したんですが、やはり揺れが少なく、乗り心地がすごく良かったですね。車内の雰囲気も本当に落ち着いていて、まさに「走るホテル」。レストランで山口県の食材は使われ、車内の客室などで萩切子グラスや萩焼が用いられていて、瑞風は走る情報発信基地にもなっているんですよ。また、山口県の美しい海岸美はやはり評判がいいですね!!

――― うれしいですね!! ところで、支店長として着任以来、山口県の観光素材を探して巡られた中で、特にどんな食べ物が印象に残っていますか?

淺井支店長:萩のアマダイの煮つけです!! アマダイは鮮度が落ちやすく、身崩れしやすい魚。萩はアマダイの好漁場で、イキのいい新鮮なアマダイを煮つけにしてしまうという、なんともぜいたくですよね! 食レポするっていうのは難しいですけど(笑)、地域のお母さんたちがつくった、素朴で懐かしいような味で、絶品でした。また、先日、やまぐち支店の3人で秋穂へ自転車で行き、「あいおえび狩り選手権」に出場してきました。とったクルマエビは15匹! 初めてにしてはかなり頑張ったと思いますよ(笑)。バーベキューで焼いていただきました。おいしかったです!! 周防大島(すおうおおしま)の「タチウオの鏡盛り」もイイですね!! 下松(くだまつ)の「笠戸島(かさどしま)のヒラメ」もいい!! 目の前に広がる瀬戸内海の風景がとてもいい。温泉もある。昨年リニューアルオープンした「国民宿舎大城(おおじょう)」の評判が良く、そういえばロビーには、新幹線グリーン車の座席が設置されているんです。新幹線の停車駅・徳山駅から車で近い距離。笠戸島は魅力的なおすすめスポットだと思います。

――― 下松には新幹線などの鉄道車両を造る会社があり、昔から鉄道にゆかりの深いまち。県内には、そんなふうにまだ広く知られていない魅力的な観光素材がいろいろとありそうですね!! 最後に一言、お願いします!

淺井支店長:山口県には、食・歴史・自然など、さまざまな観光の魅力がある一方で、その認知度はまだまだ高いとは言えません。県外でのPRにこれからしっかり力を入れ、山口県の魅力をたくさんの皆さんに知っていただき、行ってみたいと思っていただけるようにしていきます。来ていただけたらきっと満足していただけます。バスなどの2次アクセスも山口DCを機にどんどん便利になっています(※8)。ぜひ山口県の旅をお楽しみください!!

※1 土曜日、日曜日、祝日に運転。
※2 フグ・ウニ・クジラなど、下関を代表する海の幸が詰まった老舗料亭「古串屋(こぐしや)」の「夢のはなし弁当」。長州地どりをはじめ地元の食材にこだわった長門湯本温泉「大谷山荘」の料理長監修「長門おとずれ弁当」。いずれも要事前予約。
※3 萩の「割烹 千代」による萩の地魚(金太郎・平太郎)のおつまみと萩焼のお猪口(ちょこ)を組み合わせた「萩のお猪口とおつまみセット」。地酒の酒かすを使ったマドレーヌなど、萩の「Sweetsうきしま工房」による「萩のスイーツセット」。いずれも要事前予約。
※4 それらのゲームは車内抽選で当選された方のみのご利用
※5 「山口大内御膳弁当」の限定発売など。要事前予約。山口大内御膳弁当は、室町時代に大内氏町幕府の前将軍を当時日本最大の宴を開いて山口でもてなしたときの献立から厳選したもので構成。
※6 国内版は平成30(2018)年1月31日(水曜日)まで。
※7 海岸版は平成30(2018)年3月31日(土曜日)まで。
※8 防長交通(株)が運行する「スーパーはぎ号(新山口駅新幹線口~萩・明倫センター)」は10月1日(日曜日)から1日4往復に増便。中国JRバス(株)が運行する普通便(湯田温泉駅、山口駅~萩・明倫センター)は、10月1日(日曜日)から萩バスセンターと東萩駅にも停車する。

淺井 昌容

西日本旅客鉄道株式会社 やまぐち支店長 地域共生推進担当特命
鳥取市生まれ。慶應義塾大学商学部卒。平成8年4月、西日本旅客鉄道(JR西日本)入社。平成28(2016)年1月から、やまぐち支店初代支店長。

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