やまぐち幕末ISHIN祭

スペシャルインタビュー vol.3

大河ドラマ『花燃ゆ』の舞台として今、期待と注目が大いに高まっている山口県へ、NHK山口放送局の局長として赴任された坂井律子さんにお話をうかがいました。

―――『花燃ゆ』第1回の試写をご覧になったそうですね?いかがでしたか?

坂井局長:すごく良かったですよ!吉田松陰(よしだ しょういん)と小田村伊之助(おだむら いのすけ=後の楫取素彦(かとり もとひこ))との出会いと友情の始まりが、際立って描かれていました。ふたりを結びつけたのが松陰の妹である少女時代の文で、文と小田村との今後のドラマチックな展開を予感させる・・・。子役の山田萌々香(やまだ ももか)さんの熱演もとても良くて。第1回は兄と妹、将来の夫婦という、文を中心にした3人の関係がクローズアップされ、このドラマは幕末ものではあるけれど、人間関係のドラマなんだな、とあらためて感じました。脚本家の方は「自立と友情の物語」だとおっしゃっていました。テーマ音楽も非常に印象的で、声優でもある池田秀一さんの語りも良く、テンポアップしたリズミカルな感じで、ぜひ次を見たくなる第1回でした。

――― それは楽しみです!!坂井局長は平成26(2014)年6月に着任されたそうですね。それ以前に山口県に来られたことはありますか?

坂井局長:子どものころ家族と秋吉台や青海島へ行きましたし、学生時代には友人と萩や津和野(島根県)へ行き、町並みがすごくよく残っているなあ、と思ったのを覚えています。それから30数年ぶりの山口県。萩の城下町はその時の印象と変わっておらず、きちんと残してこられたんだなあ、と。それはとても貴重なことだと思います。今回ドラマのロケもそうした街並みを中心に行われました。そういう所って他にはなかなかないと思います。

――― もともと「歴史」はお好きなんですか?

坂井局長:大学時代は歴史学科で東洋史と考古学をやっていたんです。でも、作ってきた番組は歴史とはほとんど関係がなくて。転勤先が山口と聞き、「えっ、次の大河ドラマの…?!」と驚きましたが、ならば、きちんと知っておこうと幕末のことを勉強し始めました。こちらに来てみると、萩・山口・防府・下関など、どこで誰が何を、と、それぞれの、まちと人と出来事が結び付いて具体的に分かるようになり、一層面白くなりました。出張で県内あちこちを回る中でも、石畳が残る街道「萩往還」にちょっと立ち寄って、この道を誰かが駆け抜けたんだなあ…とか。他にも志士などのゆかりの場所が、まちのあちこちにありますよね。ドラマや小説に登場する人物の足跡がすぐそこにある。歴史が身近というか、「歴史がそのまま」そこにある。これは面白い。考古学に比べれば、150年って、近いですよね!山口県には、ゆかりの方のご子孫もかなりおられるし、志士の扮装をした方にも多々お会いしますし…(笑)。そういう意味でも山口県は幕末維新がとても身近ですね。

―――『花燃ゆ』は女性が主人公の大河ドラマですね。女性局長としていかがですか?

坂井局長:私はいろいろな番組を作ってきたんですが、ドラマではなく、ドキュメンタリー畑なんです。でも、一視聴者としてドラマを見るのがとても好き。女性が主人公のドラマって、やっぱり見やすいですし、感情移入しながら見てしまいます。女性の凛とした強さ、悩み、葛藤、恋人・家族への思い、そして生き方…。「花燃ゆ」も女性の皆さんにぜひ見ていただければいいなと思います。主人公を演じる井上真央(いのうえ まお)さん。萩でロケのとき、修学旅行中の女の子たちが通りかかって「キャーッ!!」と、ものすごい歓声だったんです。井上真央さんには、オーラがあって、人の気持ちをキュッと、すごくひきつける力がある。とても、期待しています!

――― 「花燃ゆ」の放送、いよいよ、ですね!お気持ちはいかがですか?

坂井局長:NHK職員は全国各地へ異動しますが、大河ドラマの舞台になる地元局にいられるというのは、なかなか経験できないこと。ラッキーとも言えますし、すごく嬉しいことなんです。県内各地のゆかりの地や、ロケ、イベント、記者会見などにできるだけ行っています。そうすると、どこへ行っても地元の皆さんが「期待しています!」と言ってくださる。だから、ぜひ多くの方に観ていただきたくて、山口放送局独自で、イベントや、関連番組、パンフレットなどを作って一生懸命PRしています。

――― 県内各地を回っておられるんですね。

坂井局長:県内あちこち回る中で、おいしいもの、温泉など、いろいろと知りました。ハモとか、アンコウとか、金太郎とか初めての魚。日本酒もいろいろあって、どれもおいしい。野菜もおいしい。もちろん食べ物だけではなくて海や川の美しさとか、蛍とか。大河ドラマでこの土地が注目されるのをきっかけに、そうした山口県の魅力が全国の皆さんの目に触れる機会になればと思います。12月19日(金曜日)には山口放送局制作の「放送直前 花燃ゆスペシャル」を放送したのですが、ここには山口市の歴史ガイドの方や、主人公文の兄である杉民治の功績を後世に伝えようとしている岩国の方、楫取素彦・寿(ひさ)夫妻が暮らした長門の方などが登場されました。県内各地のこうした方々のことを、これからもきめ細かい取材で全国に発信したいですね。(中国地方向けに1月30日(金曜日)午後8時から再放送)

――― 山口県の魅力を全国へ発信。楽しそうでワクワクしてきました。年末年始に放送される『花燃ゆ』関連の番組には、どんなものがありますか?

坂井局長:山口放送局では年末年始だけでなく、毎週1回夕方6時10分からの『情報維新!やまぐち』の中に「花燃ゆ維新塾」コーナーを作り、大河ドラマに向けた県内各地の動きなどを紹介しています。山口局のカメラマンが撮影する「花燃ゆ巡り」の映像もお楽しみに。
全国放送の年末年始番組では『大河ドラマ花燃ゆボイス』を12月27日(土曜日)に放送します。そこに登場する50人は『花燃ゆ』のキャストやスタッフが主なんですが、ロケやイベントでお世話になった山口県の方も登場します。さらに1月23日(金曜日)には、もっと多くの山口県の方が登場する『花燃ゆボイス山口スペシャル』も放送の予定(山口県内向け)です。
この12月、井上真央さん、笑福亭鶴瓶(つるべ)さん、小野文恵(おの ふみえ)アナウンサーが山口市で『鶴瓶の家族に乾杯~新春スペシャル~』のロケをしました。1月1日(木曜日)・5日(月曜日)に2回にわたり放送します。井上真央さんは田園地帯を訪ねたいと、あるところへ行かれたんですが、それ以上は秘密です(笑)。楽しいものになっていると思います。ぜひご覧ください。

※「花燃ゆ」関連番組の情報はNHK 山口放送局HPでご確認ください。

――― 山口県の宝の一つは、歴史。幕末維新の貴重な文書や資料、ゆかりの地がたくさんあります。ぜひ県内外の多くの皆さんに山口県でのイベントや観光を楽しんでいただきたいです!
最後に、今後に向けて、山口放送局長としての思いをお願いします。

坂井局長:公共放送の最大の役割は、緊急報道、特に災害に備え、発災した時には迅速かつ正確な情報を届けて皆さんの「安心・安全を守ること」です。また、地域の課題を考えるための情報をお伝えしなければなりません。毎日夕方6時10分から7時まで放送している県内向けの情報番組「情報維新!やまぐち」や、県内向け、全国向けのドキュメンタリー番組にも力を入れています。ぜひ、ご覧ください。
テレビはこうした「情報」を伝えるメディアですが、一方で「心が動くもの、心に残るものを作ること」も仕事だと思うんです。皆さんの安心・安全を守ることを日々きちんとやりながら、大河ドラマの舞台となる放送局としてできることを精一杯やり、かつ楽しみたいと思っています。心が動くものを提供することはテレビの醍醐味だと思うんです。番組の「内容を覚えている」ということだけではなく、そのとき「見ていた風景を覚えている」といったこともあると思うんですね。例えば「あのとき、家族で一緒に見たよね」とか「ひとりで見ていてあのセリフに元気づけられた」…というふうに。だから「2015年は、あのドラマ、やっていたよね」「あのシーンがすごく良かったね」と、「花燃ゆ」が皆さんの心に残ったり、「大河ドラマ展」などの関連イベントへ行って「あのとき、あそこへ行ったよね」と思い出になったりしたら嬉しい。経済効果も期待されていますが、特に地元の皆さんの心に残る大河ドラマになったら幸せだなと思います。

――― 本当にそうですね!また、『花燃ゆ』をご覧になって山口県へ観光に来られた方たちに、私たちも何か心を動かせるおもてなしを精一杯届けたいと思います。ありがとうございました!

関連情報

文と萩物語 花燃ゆ大河ドラマ館

平成27(2015)年1月11日(日曜日)から平成28(2016)年1月10日(日曜日)まで旧明倫(めいりん)小学校体育館で開催。

ほうふ花燃ゆ大河ドラマ館「文の防府日和。」

平成27(2015)年1月11日(日曜日)から平成28(2016)年1月11日(月曜日・祝日)までルルサス防府2階多目的ホールで開催。

2015年NHK大河ドラマ特別展「花燃ゆ」山口展

4月18日(土曜日)から5月24日(日曜日)まで山口県立萩美術館・浦上記念館(萩市)で開催。4月20日(月曜日)、5月11日(月曜日)・18日(月曜日)は休館。

坂井律子

NHK山口放送局 局長

1985(昭和60)年NHK入局。新人時代は札幌放送局、その後東京・制作局、編成局に勤務。ディレクター、プロデューサーとして福祉、医療、教育などをテーマとするドキュメンタリー番組や子ども向け番組を制作。2014(平成26)年6月山口放送局長に着任。著書に「いのちを選ぶ社会」(NHK出版)、「身体をめぐるレッスン」(共著・岩波書店)などがある。

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