やまぐち幕末ISHIN祭

スペシャルインタビュー vol.5

山口県では、平成30年の明治維新150年に向けて、観光キャンペーン「やまぐち幕末ISHIN祭」を展開中です。観光客の皆さんをもてなそうと活動を続ける、おいでませ山口観光ボランティアガイド協議会 会長の脇彌生(わき やよい)さんにお話をうかがいました。

――― おいでませ山口観光ボランティアガイド協議会は、どういう団体なのですか?

脇さん:平成13(2001)年の「山口きらら博」を機に、山口県に来てくださる皆さんをおもてなししたいということで、県内のボランティアガイドの団体がホスピタリティの向上などを目指して設立した協議会です。現在20団体が所属し、約600人が登録されています。年に数回、マナーやおもてなしの技術などについて学んだりする研修会を設けて、スキルアップしています。

――― そうなんですね。ところで脇さんご自身がボランティアガイドを始めたきっかけは何だったんですか?

脇さん:子どもが小学生のとき、PTAの行事で近所(宇部)の史跡巡りをする機会があったんです。そのとき、私は「福原(ふくばら)史跡公園(※1)」のことも、近所のお地蔵様のいわれも何も知らなかったことに気付いたんです。ショックでしたね。と同時に、身近なことを知るって面白い、と思ったんです。それを機に地域の史跡巡りに参加し、『宇部郷土史話』などいろいろな本を読んでいって…。そして私も歴史を伝える人になりたいと思い、宇部市主催の養成講座を3年間受講し、それが終了した平成6(1994)年に受講生で「宇部市ふるさとコンパニオンの会」を発足させたんです。ところが、ガイドを始めたころは勉強したことのいくらも話せなくて…。落ち込みました。そんなとき、「全てを話したらお客さんの方が疲れるよ」って夫が言ってくれて、ハッとしました。確かにそうですよね。その後、お客さんに合わせて興味を持っていただけそうなことをお話しする、と変わっていきました。そのためには自分がたくさん引き出しを持っておかないといけません。でも、勉強することは自分自身とても楽しいです。

――― 知ることは面白い。本当にそうですね!山口県では現在、「やまぐち幕末ISHIN祭」を展開中ですが、脇さんは山口県の魅力って何だと思われますか?

脇さん:明治維新を起こす、一番の力になったのは長州。そして山口県は8人の宰相を送り出してきました。すごく誇れるふるさとだと思います。その維新が成功した源は、吉田松陰(よしだ しょういん)。一人ひとりの長所を見抜き、いいところを伸ばし、しかも短期間で多くの影響を与えた。それは人材育成という面ですごいこと。そうしたことなどを学べる萩はやっぱり魅力的です。私は萩のまちが好きで、よく博物館を訪ねたり、まちを歩いたりします。でも、それ以外にも魅力のあるところは県内にたくさんあります。例えば、私の住んでいる宇部は「禁門の変」の責めを負わされて自刃した3人の家老のうち、福原越後(ふくばら えちご)と国司信濃(くにし しなの)(※2)の領地。そのゆかりの地がいろいろとあります。山口県の中には、あまり知られていない歴史もある。そうしたことも私たちは伝えていきたいと思います。

――― 明治維新を含め、県内の魅力を伝えるにあたり、ボランティアガイドとしておもてなしで大事にしておられることは何ですか?

脇さん:まず笑顔ですね!お客様を気持ちよく、笑顔でお迎えすることです。そしてお顔を見ながら、皆さんの反応に合わせてお話することです。もちろん事前に、どういう目的で来られる皆さんなのかをお尋ねし、歴史の会であれば歴史をくわしく、親睦的な会であれば難しいことは避けて楽しく…と、ニーズに合わせて準備します。でも、当日は事前に準備したことに固執しません。興味を持って聞いてくださる方は目の輝きが違うんですね。全体を見回しながら、そうした方たちに応えて臨機応変にお話しするようにしています。

――― 今年は大河ドラマに続いて嬉しいニュースが続きました。7月には、萩の5つの資産(※3)を含む「明治日本の産業革命遺産-製鉄・製鋼、造船、石炭産業-」が世界文化遺産へ登録されましたね!

脇さん:ありがたいことですよね!これを観光に生かさない手はないと思います。登録を機に、私自身あらためて知った歴史もありますから。それにこの世界遺産は8県にまたがる全資産の中で捉える必要があります。私は以前、「炭鉱を記録する会」の研修で、今回の世界遺産の構成資産の一つ、長崎県高島へ行ったことがあり、宇部の人たちが明治時代に高島の北渓井坑(ほっけいせいこう)(※4)へ学びに行っていたことをそれを機に知り、驚きました。つながっているものですね。私はできるだけ現地へ行って感じるようにしていて、それは自分がガイドをするときに役立つんです。見て知っていると説得力が自ずと変わってくるんですね。

――― なるほど!確かにそうですね。ところで、やまぐち幕末ISHIN祭では、全県周遊型観光アプリ(※5)や、パスポートブック「おいでませパスポート(※6)」といった取り組みを行っています。そうした取り組みについていかがですか?

脇さん:アプリ、ダウンロードしてみました。「志士」と一緒に写真を撮れるものなど、面白いものがいろいろありますね!パスポートもいいですね!たくさんの施設の割引が付いていて、あちこち巡るときに便利ですよね。山口県を周遊する観光客の皆さんにお勧めしたいです。

――― これからボランティアガイドになりたいという方へ、メッセージを。

脇さん:覚えることも多く、観光客の皆さんへの説明の仕方など、苦しいこともありますが、回数を重ねるうちに、どうすればいいかが分かってきます。そうするとお客さんとのやりとりが弾み、笑顔も増え、やり終えたときに充実感があります。それに自分のための勉強より、人にお伝えしようと思うと頭に入るものです。いろいろと本を読み、そのときはしっかり覚えられなくても「確かあの本に書いてあった」ということは残ります。ボランティアガイドになりたいと思われたら、各市町の観光担当課に尋ねてみてください。一緒に勉強し、勉強したことを、来訪される皆さんに紹介していきましょう。

――― ありがとうございます!最後に山口県への観光を考えている方たちにメッセージをいただけますか?

脇さん:NHK大河ドラマ『花燃ゆ』をきっかけとして、実際の歴史はどうだったのかを、ぜひ山口県を巡って知っていただけたらうれしいですね。ボランティアガイドによる案内をご希望の方は、各市町の観光担当課に気軽にお尋ねください。ボランティアガイドの案内で効率的にポイントをまわることもできます。少人数のグループの方もぜひご相談ください。また、山口県には、歴史以外にも、日本ジオパーク(※7)に認定された、素晴らしい自然の秋吉台や秋芳洞(あきよしどう)、普段は非公開の日本一の長さの私有道を通るツアーなどが評判の「宇部・美祢・山陽小野田産業観光バスツアー」など、魅力的なスポットやツアーがたくさんあります。どうぞ山口県へお越しください!

※1 福原氏は、萩藩の永代家老。宇部を領地としていた。宇部の館跡は現在、市の史跡公園となっており、井戸の跡などがある。

※2 幕末の萩藩の家老。宇部市万倉(まぐら)地域を領地としていた。

※3 反射炉、恵美須ヶ鼻(えびすがはな)造船所跡、大板山(おおいたやま)たたら製鉄遺跡、萩城下町、松下村塾。

※4 英国人技師を招き、日本初の蒸気機関による竪坑が開坑され、明治2(1869)年に着炭。明治9(1876)年に廃坑。

※5 やまぐち観光ナビ「志士への道」は、おすすめ・こだわりの観光ルートのご紹介の他、行きたい場所に案内してくれる「ナビゲーション機能」や「スタンプラリー機能」、その他お楽しみコンテンツを満載し、やまぐちの旅を便利に、そしてより楽しくしてくれるアプリです。

※6 おいでませパスポートは山口県内の施設(店舗)や東京・大阪の山口県ゆかりの店等を巡って特典を受けながらスタンプを集め、その数で3つのステージのパスポートへランクアップするものです。ステージごとに、抽選で素敵な賞品が当たります。パスポートは、このHPからも申し込むこともできます。ぜひご利用ください!

※7 ジオパークとは、ジオ(地球)に関わるさまざまな自然遺産、例えば地層・岩石・地形・火山・断層などを含む自然豊かな「公園」のこと。「Mine秋吉台」は平成27年9月、日本ジオパークに認定されました。

脇 彌生

おいでませ山口観光ボランティアガイド協議会 会長

平成26年から協議会会長。平成6年、宇部市ふるさとコンパニオンの会 発足時からのメンバーで、平成20年から会長を務める。宇部・美祢・山陽小野田産業観光バスツアーの産業観光エスコーターも務める。宇部観光コンベンション協会ホスピタリティ推進員として紙芝居も行っている。

インタビュー一覧

  • LINEで送る

PAGE TOP