高卒認定試験とはどんな試験?
「高校に通えなかった」「途中で辞めてしまった」そんな状況でも、高卒認定試験(高認)に合格すれば、大学や専門学校の受験資格を得ることができます。正式名称は「高等学校卒業程度認定試験」で、文部科学省が実施する国家試験です。まずは試験の基本的な内容を押さえておきましょう。
高卒認定試験の目的と意味
高卒認定試験は、さまざまな事情で高校を卒業できなかった人が、高校卒業と同等の学力を証明するための試験です。
合格すると得られる主なメリットは次のとおりです。
- 大学・短大・専門学校の受験資格を取得できる
- 高校卒業が必要な資格試験(看護師・保育士など)の受験資格を得られるものが多い
- 就職活動で「高校卒業と同等」と見なされる場合がある
ただし、高卒認定の合格=高校卒業ではありません。あくまで「高校卒業と同程度の学力がある」と証明するものです。最終学歴は、その後に進学・卒業した学校が適用されます。
高卒と高卒認定の違い
混同しやすいポイントなので、下の表でシンプルに整理します。
| 項目 | 高校卒業 | 高卒認定合格 |
|---|---|---|
| 最終学歴 | 高卒 | 中卒(変わらない) |
| 大学受験資格 | あり | あり |
| 取得方法 | 高校3年間の在籍・卒業 | 試験合格 |
| 費用の目安 | 学費数十万〜数百万円 | 受験料8,500円〜 |
最終学歴を「高卒」にしたい場合は、通信制高校と併用して卒業を目指すという選択肢もあります。
受験できる人の条件
高卒認定試験には、年齢や学歴の制限がほとんどないという特徴があります。基本条件は以下のとおりです。
- 受験する年度末(翌年3月31日)の時点で満16歳以上であること
- 大学入学資格を持っていないこと(すでに高校を卒業している人は受けられない)
16歳から受験可能なので、高校在学中にチャレンジすることもできます。ただし、在学中に合格しても、卒業するまで大学受験などには使えない点は注意が必要です。
高卒認定試験の受け方・申し込み手順
「受けてみたい!」と思ったら、まずは申し込みの流れを確認しましょう。手順を一つひとつ追っていけば、難しくありません。文部科学省のホームページから最新情報を必ず確認するようにしてください。
願書の入手方法
高卒認定試験の願書(受験案内)は、主に以下の方法で入手できます。
- 文部科学省のホームページからダウンロード(PDFで取得可能)
- 全国の都道府県教育委員会の窓口で受け取る
- 文部科学省に郵送を申請する
ダウンロード版は自宅で印刷できるため、最も手軽な方法です。書き損じを防ぐため、印刷は複数枚用意しておくと安心です。
必要書類の準備
出願時に提出が必要な書類は以下が基本となります。受験状況によって追加書類が必要な場合もあるため、願書の注意書きをよく確認してください。
- 受験願書(所定の様式)
- 住民票の写し(本籍地の記載があるもの)
- 受験料の収入印紙
- 証明写真(縦4cm×横3cm程度、3〜4枚)
- 最終学校の卒業証明書または在学期間を証明する書類
科目免除を申請する場合は、高校の単位取得証明書なども必要になります。事前に出身校や各機関に問い合わせておくとスムーズです。
出願から受験票受け取りまで
出願は郵送(簡易書留)が基本です。窓口での直接提出は受け付けていない点に注意してください。
書類を提出してから試験当日までのおおまかな流れは以下のとおりです。
- 願書・必要書類を封筒にまとめて郵送
- 出願受付後に「受験票」が送られてくる(試験1〜2週間前が目安)
- 受験票を受け取り、受験地・時間割を確認する
受験票が届かない場合や記載内容に誤りがある場合は、早めに文部科学省へ問い合わせましょう。
試験当日の流れ
試験は午前・午後に分かれて複数の科目が実施されます。受験科目によって試験会場での滞在時間が変わります。
当日に持参するものは以下のとおりです。
- 受験票(必須)
- 身分証明書(生徒手帳や健康保険証など)
- 鉛筆・シャープペン(HBまたはBが推奨)・消しゴム
- 時計(スマートフォン不可、スマートウォッチ不可)
試験はマークシート方式で、記述式ではありません。落ち着いてマークを塗りつぶす練習をしておくと、当日焦らずに済みます。
試験科目と免除制度を知ろう
高卒認定試験では、受験する科目の数は人によって異なります。これは高校で取得した単位を免除として使えるからです。自分に関係する科目だけを受験できるよう、まずは科目構成を理解しましょう。
必修科目と選択科目の一覧
合格に必要な科目は以下のとおりです(最新情報は文部科学省で確認してください)。
| 教科 | 科目 | 備考 |
|---|---|---|
| 国語 | 現代文B(国語) | 必修 |
| 地理歴史 | 世界史A/B(1科目)、地理A/B・日本史A/B(1科目) | 計2科目 |
| 公民 | 現代社会 or 倫理+政治経済 | 1〜2科目 |
| 数学 | 数学 | 必修 |
| 理科 | 科学と人間生活など(2〜3科目) | 組み合わせあり |
| 英語 | 英語 | 必修 |
選択の組み合わせによって受験科目の合計数が変わります。多くの場合、8〜10科目すべてに合格する必要があります。
科目免除の条件と申請方法
高校で修得した科目の単位数が一定以上であれば、その科目の試験を免除してもらうことができます。これは受験の大きな負担を減らせる制度です。
- 出身高校から単位修得証明書(履修証明書)を取り寄せる
- 願書と一緒に提出する(免除申請書が必要)
- 免除可能な単位数は文部科学省の基準に沿って判断される
中退した高校でも単位が残っていれば免除を受けられる場合があります。「どうせ退学したから関係ない」と諦めずに、在籍していた高校へ問い合わせてみましょう。
合格に必要な点数のめやす
各科目の合格ラインは非公開ですが、一般的に40点前後が合格の目安と言われています。100点満点の試験で40点という数字は、決して高い壁ではありません。
また、一度合格した科目は何度でも持ち越せるため、全科目を一度で合格する必要はありません。苦手な科目は次の試験回に持ち越しながら、着実に合格科目を増やしていくことができます。
高卒認定試験の費用と日程
高卒認定試験は年に2回実施されており、費用も比較的手軽です。ただし、受験料以外にも準備費用がかかることを忘れないようにしましょう。
受験料と準備にかかる費用
受験料は受験科目数によって決まります。
| 受験科目数 | 受験料 |
|---|---|
| 7科目以上 | 8,500円 |
| 4〜6科目 | 6,500円 |
| 1〜3科目 | 4,500円 |
受験料のほかに、参考書・問題集代(2,000〜5,000円程度)や交通費、証明写真代なども見込んでおきましょう。塾や通信講座を活用する場合は別途費用が必要です。
試験の年間スケジュール
高卒認定試験は毎年8月と11月の年2回実施されます。
- 第1回(8月):出願は4月頃、試験は8月上旬
- 第2回(11月):出願は7月頃、試験は11月上旬
出願締め切りを過ぎると受験できないため、早めに願書を入手して計画を立てることが大切です。特に第1回を目標にする場合、春から準備を始めると余裕を持って臨めます。
試験会場について
試験会場は各都道府県に1〜2か所設けられることが多く、受験願書の提出時に希望する都道府県を選択します。
会場は毎回変わる可能性があるため、受験票が届いたら会場の場所・最寄り駅・所要時間を必ず確認しましょう。当日は余裕を持って現地入りすることをおすすめします。
効果的な勉強方法と対策
高卒認定試験は独学でも十分合格できます。ただ、自分に合った勉強スタイルと教材選びが合否を大きく左右します。ここでは具体的な勉強方法をいくつか紹介します。
独学で合格する勉強の進め方
独学で挑む場合のポイントは、「過去問を軸にした学習」です。高卒認定試験は出題パターンが比較的安定しており、過去問を繰り返すことで傾向がつかみやすい試験です。
勉強の順番は以下の流れが効果的です。
- まず過去問を1回解いてみる(現状把握)
- 苦手な単元を参考書でインプット
- 再度過去問で確認(アウトプット)
- 間違えた問題を繰り返し解く
文部科学省のホームページには無料で過去問が掲載されているため、積極的に活用しましょう。
おすすめの参考書・問題集
高卒認定試験対応の参考書は複数の出版社から出ています。以下は使いやすいと評判のシリーズです。
- J-出版「高卒認定スーパー実戦過去問題集」シリーズ:科目別に分かれており、実際の出題形式に近い練習ができる
- 文英堂「高校これでわかる」シリーズ:基礎からていねいに解説されており、ゼロから学び直す人向け
- 旺文社「高卒認定ワークブック」シリーズ:試験対策に特化したポイントまとめが充実
参考書は1科目1冊に絞って繰り返すのが基本です。何冊も広げるより、1冊を完璧に仕上げる方が得点につながります。
塾・予備校を活用する方法
独学に不安がある場合は、高卒認定試験対応の塾や通信講座を活用する方法もあります。
- J-Web School(ジェイウェブスクール):高卒認定専門のオンライン通信講座。スマホで学習できる
- 河合塾COSMO(コスモ):不登校・高校中退者向けのサポートが充実したコース
- 代々木ゼミナール:一部校舎で高認対策授業を開講
塾や通信講座を使うと費用はかかりますが、スケジュール管理や質問対応が受けられるため、一人では続けにくい場合に特におすすめです。
1日の勉強スケジュールの立て方
試験の3〜6か月前から勉強を始めることが目安です。1日の学習量は2〜3時間程度を目安に、無理のない範囲で継続することが大切です。
例えば以下のようなスケジュールが参考になります。
| 時間帯 | 学習内容 |
|---|---|
| 午前(1時間) | 得意科目の問題演習(英語・国語など) |
| 午後(1時間) | 苦手科目のインプット(数学・理科など) |
| 夜(30分) | その日の復習・間違えた問題の確認 |
毎日同じ時間に勉強することで習慣化しやすくなります。「今日は何をやるか」を前日に決めておくだけで、翌朝すぐに取りかかれます。
高卒認定取得後の進路と活用
高卒認定に合格したあと、どんな道が開けるのかも気になるところです。進学・就職・資格など、幅広い選択肢があります。将来の目標をイメージしながら取り組むことで、勉強のモチベーションも上がります。
大学・短大・専門学校への進学
高卒認定の最も大きなメリットの一つが、大学・短大・専門学校を受験できるようになることです。
例えば次のような大学が、高卒認定合格者の入学実績を持っています。
- 早稲田大学・明治大学・立命館大学など、多くの有名私立大学
- 国公立大学(センター試験=現・大学入学共通テストを受験する必要あり)
- 看護専門学校・調理師専門学校など、資格取得を目指す専門学校
大学受験を目指す場合は、高卒認定合格後に大学受験専門の塾や予備校(河合塾・駿台・東進ハイスクールなど)に通うことも一つの選択肢です。
就職への影響
就職においては、高卒認定は「高校卒業と同等」と判断する企業も増えていますが、一方で中卒扱いとなる企業もあります。企業によって対応が異なるため、応募先の採用要件を事前に確認することが重要です。
高卒認定取得後に専門学校・大学を卒業した場合、その学歴が最終学歴として扱われます。就職を強く意識しているなら、進学して卒業まで目指すプランも視野に入れておきましょう。
資格取得への活用
高卒認定合格で受験できるようになる資格は多く、以下が代表的です。
- 看護師・准看護師国家試験の受験資格(看護学校への入学が必要)
- 保育士試験(都道府県知事指定の保育士養成施設または国家試験)
- 消防士・警察官採用試験(高卒程度区分への応募が可能になる場合あり)
資格の取得要件は各試験によって異なります。目標とする資格の受験資格を事前に調べてから、取得計画を立てることをおすすめします。
よくある疑問と不安を解消
高卒認定試験について調べ始めると、「自分でも受けられるの?」「失敗したらどうなるの?」といった疑問が出てくることがあります。ここでは特に多い質問に答えていきます。
何歳でも受けられる?
受験した年度末に満16歳以上であれば、年齢の上限はありません。20代・30代・40代でも受験できます。
実際に社会人になってから「やっぱり大学に行きたい」「資格を取りたい」と思い立って受験する人は少なくありません。何歳からでも始められるのが高卒認定試験の魅力の一つです。
落ちたらどうなる?
試験に不合格でも、受験回数に制限はなく、何度でも再チャレンジできます。また、一度合格した科目は永久に有効なため、次回は残りの科目だけ受ければOKです。
1回で全科目を合格する必要はまったくありません。少しずつ科目を増やして合格を積み重ねていくというペースで取り組む人も多くいます。
高卒認定と通信制高校、どちらがいい?
どちらが合うかは、目的やライフスタイルによって異なります。
| 比較ポイント | 高卒認定試験 | 通信制高校 |
|---|---|---|
| 最終学歴 | 中卒のまま | 高卒になる |
| 費用 | 数千円〜(受験料のみ) | 年間数万〜数十万円 |
| 取得スピード | 最短半年〜1年 | 最短3年(在籍が必要) |
| サポート体制 | 基本は自己管理 | スクーリングなどあり |
「なるべく早く大学に進学したい」なら高卒認定、「最終学歴を高卒にしたい」「学校生活も楽しみたい」なら通信制高校が向いている場合が多いです。一人で決めにくい場合は学校や相談窓口に相談してみてください。
まとめ:高卒認定試験は正しい手順と準備で合格できる
高卒認定試験は、適切な準備と手順を踏めば、年齢や過去の学歴に関係なく誰でも挑戦できる試験です。
今回紹介した内容を整理すると、次のようになります。
- 試験は年2回(8月・11月)で、出願は数か月前から始まる
- 受験料は4,500〜8,500円と比較的安価
- 高校で修得した単位は免除申請が可能
- 合格した科目は持ち越せるので、複数回に分けてもOK
- 合格後は大学・専門学校の受験や資格取得の道が開ける
まずは文部科学省のホームページで最新の試験情報を確認し、自分がどの科目を受験する必要があるかを調べるところから始めてみましょう。勉強方法や進路で迷ったときは、塾や学習支援センターに相談するのも一つの方法です。
一歩踏み出す勇気があれば、高卒認定試験は十分に手の届く目標です。
